カメヤおろしわさびの原点ともいえる「生一本おろし本わさび」。発売から 30 年以上も続くこのベストセラー商品の美味しさの源は、原料であるわさびの品質にあります。わさびを一から丹念に育て、収穫から加工まで一貫して行うカメヤ食品のこだわりをご紹介します。
伊豆・天城山麓にある自然豊かなわさび沢
伊豆・天城山麓は、全国でも 5 本の指に入るほどの降水量と、太古の昔に火山活動で形成された軽石堆積層が生み出すミネラル豊富な湧き水のおかげで、日本一のわさびの産地として知られています。カメヤの 4 つの自園わさび沢があるのもこの地域です。
山間の地形を生かして育てるその栽培方法は、畳石式といわれる伊豆地方発祥のもの。病気にかかりにくい上に根が大きく育ち、高品質なわさびを作ることができるのです。
長い年月をかけて育てる。手間がかかる本わさび
天城わさび沢では、「実生」や「下田 2 号」、高級品種の「真妻種」を栽培しています。特に「真妻種」は他のわさびの品種と比べ、2倍の年月をかけてじっくり育てるため、水っぽさがなく、わさびの旨味と風味が凝縮されます。その結果、他のわさびに比べて甘みが強く、なめらかで上品な辛味になるのです。
収穫された新鮮なわさびをそのまま工場へ
天城わさび沢では、一日おきに 200~300 本程のわさびを手作業で収穫し、夕方には清水町にある第 2 工場へと運びます。到着したわさびは、品種や大きさなどで仕分けをしてから洗浄機にかけ、用途に応じて手作業でカットし大きさを揃えます。最後にわさびを塩漬けにし、平成台工場へと運びます。
主力工場である平成台工場では、カットされたわさびを専用の機械ですりおろし、攪拌します。 「生一本おろし本わさび」は、食感や風味をおろしたてのわさびに近づけているため、そのみずみずしさや風味を損なわないよう熱を逃がしながら攪拌し味をなじませます。できあがったおろしわさびは充填機で容器に詰められ、皆様のもとへと出荷されていきます。
おろしたてのわさびを食卓へ。お客様から愛されるベストセラー
こうして完成した「生一本おろし本わさび」は発売から 30 年経った今も、お客様から「このわさびがいい!」と、愛され続けています。ではどのようにして、このベストセラーは誕生したのでしょうか。最後にその秘密に迫ってみます。
この商品が開発されたのは今から約 35 年前。
当時のチューブ入りおろしわさびは辛味だけが強く、風味もあまりよくありませんでした。そんな中、現会長(亀谷健)は「伊豆のわさびをそのまま詰めたようなチューブ入りおろしわさびをつくりたい」という思いのもと、試行錯誤を重ねて「生一本おろし本わさび」の製品化に成功します。
発売時のパッケージは、会長の妻、靖子の機転で「伊豆のわさびを旅の思い出とともに沢山楽しんでもらえるよう、大容量のお土産品にしましょう」と、今までにない 170 gのチューブ入りおろしわさびを発案しました。
170gの入れ物となると、一般的に売られているチューブ入りおろしわさびの約 4 倍にもなり、普通のチューブ容器には入りません。そこで、マヨネーズ型にすることで量もたくさん入り、見た目もボリューム感たっぷりのチューブ入りおろしわさびが完成しました。この女性目線ならではのアイディアは、当初は反対意見も多く「売れない」と言われましたが、それを押し切り発売したところ大ヒット商品となりました。
「生一本おろし本わさび」の特徴は「おろしたてのわさび」の味に限りなく近づけているところ。塩度が絶妙なのです。
塩度は他の製品よりも低めにしておくことで保存の期間は短くなりますが、その分わさび本来の風味に近づけることに成功しました。また、通常品と比べて根茎の部分をより多く入れているため、わさびの食感をより感じることができます。
わさび通が選ぶ「生一本おろし本わさび」
伊豆産わさびを 100%使用。ツーンと鼻を突き抜けていく辛さと、爽やかな香り。舌の上でほのかに感じる甘み。おろしたてのわさびのようなフレッシュさを感じられる、カメヤこだわりの逸品です。
筆者のお勧めの食べ方は「刺身のお茶漬け」。漬けにした刺身の上に「生一本おろし本わさび」をたっぷり乗せ、出汁をかけることで、本わさびの爽やかさと甘み、ツーンキリッとした辛さがお茶漬けとマッチして、より贅沢な一品になります。
亀谷社長から聞いたおすすめの食べ方は、いいお刺身や赤身のステーキにつけて食べること。素材本来の旨味をより引き立てます。他にも、わさび丼や手巻き寿司にも合うとのこと。
カメヤ食品がこだわり抜いて作り上げた「生一本おろし本わさび」。ぜひ、ご賞味ください。
筆者:わび