水とつくる伊豆の暮らし

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まずはこれ!本格的なおろしわさびをお手軽に『伊豆おろし本わさび』

30年以上も続くカメヤのベストセラー『伊豆おろし本わさび』。 
そのルーツを探るため、商品開発や生産の拠点であるカメヤ平成台工場を訪ね、話をお聞きしました。 
そこで取材した、この商品の開発に情熱を注いだ経営陣の思いや、生産現場で日々徹底される品質管理への取り組みをお伝えします。 

「刺身の上にのせて、しょうゆをつけて食べるとわさびは利く。しょうゆの中にわさびを入れてしまっては辛味はなくなる。しかししょうゆの味がよくなる。わさびは最も調子の高い味の素と心得てよい。」 

これは、陶芸家であり美食家でもある北大路魯山人が「料理メモ」という本の中で著した一節です。 

「おろしわさび」を醤油に溶くか溶かないかはよく交わされる議論ですが、そもそも、その「おろしわさび」そのものが美味しいかどうかということが、最も重要であることは言うまでもありません。 

たしかに良いわさびを選んで、直前にすりおろして食べるのが一番美味しいのですが、それを手早く簡単にご家庭で楽しむことは、かつてはとても難しいことでした。 

ご自宅へ手軽に持ち帰れる美味しい「おろしわさび」を作りたい 

この難しい課題に真正面から取り組んだのが、伊豆の食材を使った食品を製造するカメヤ食品でした。 

わさびの持つ本来の風味、辛み、旨味を、チューブ入りの「おろしわさび」でいかに再現するか、商品化に挑んだのです。 

創業者:亀谷平一(右)と二代目現会長:亀谷健(左) 

カメヤのチューブ入り「おろしわさび」の歴史は、創業者亀谷平一の妻である登志の、「伊豆の名産であるわさびを何とか全国の食卓に届けたい」という思いから始まりました。 

そこで生まれた商品が、要冷蔵の『生一本おろし本わさび』です。 

『生一本おろし本わさび』の開発では試行錯誤を繰り返し、約5年という歳月がかかりましたが、その甲斐もあり大好評を博し、「わさびと言えばカメヤ」という名声を得ます。 

時は経ち、息子である亀谷健(現会長)が社長を継ぐと、「お土産に最適なおろしわさびを開発できないか」と思い始めました。というのも、当時は冷蔵の商品を土産物として持ち帰るのは、一苦労だったからです。 

そこで二代目社長である亀谷健は、常温品でも美味しいチューブ入り「おろしわさび」を開発することを決意しました。特に『生一本おろし本わさび』の風味、旨味を極力再現することを目標としました。 

チューブ入り「おろしわさび」の常温化を目指したカメヤの挑戦 

この目標をもとに開発を始めたカメヤでしたが、それはとても大変な道のりでした。 

当時は他社も常温の「おろしわさび」を開発できていなかったため、一から自分達で考えなくてはなりません。なにしろ、常温でわさびを腐らせずに長持ちさせることが大前提です。その上で「余計なものを入れない」ということにこだわりました。 

一般的に長持ちさせるためには塩度を高めたり、保存料をたくさん入れたりしますが、二代目社長はそれを嫌いました。なぜなら、「より生一本の味に近づけ、本物のすりおろしたわさびを再現したかった」からです。せっかくのおいしいわさびが塩辛いのは言語道断。 

また、わさびの風味も旨味も生かしたいという思いから、伊豆産のわさびだけを使用してこの商品を開発しました。 

伊豆産のわさびにこだわった理由は、伊豆では主に真妻種というわさびを栽培しており、他のわさびに比べて甘みが強く、辛味もなめらかで程よい辛さを有しているからです。実生種というわさびに比べて約2倍の年月をかけてじっくり育つので、水っぽさがなく、わさびの旨味と風味が凝縮されているのです。 

伊豆産のわさびに特段こだわった『伊豆おろし本わさび』は、口に入れると素材のざらっとした質感を残しつつわさび本来のツンとした辛みが広がり、辛みの後に清廉な香りが残る絶妙な味に仕上がりました。 

こうして、試験と試食を繰り返し、永い年月をかけて『伊豆おろし本わさび』が完成したのです。 

発売当時のパッケージ

おかげさまで30年以上も続くロングセラーとして、今もなお、お客様にご好評をいただいております。 

安心安全で高品質な商品を作り続ける、平成台工場の取り組み 

いくら納得のいく味に仕上がった商品でも、清潔な環境で常に同じ味、香り、鮮度を保つよう製造できなければ、意味がありません。 

そこで、安心安全な商品をどのように高い品質を維持して作り続けているのか、三代目亀谷泰一社長から話を伺いました。 

亀谷「カメヤでは”食品は生きている”という意識のもとスタッフ教育を徹底し、最新の衛生管理を行っています。細菌類の汚染防止をはじめ、防虫、異物混入防止に必要な機器を生産ラインの隅々まで設置し、細心の注意を払っています。その基本として衣服を清潔に保つこと、手洗い消毒を徹底しています」 

取材班も工場に入らせていただく前に、専用の服、帽子、靴を着用。着用した服にローラーをしっかりとかけ、手洗い、消毒を行いました。 

まずは、わさびの水切りから始まります。こちらには清水第2工場で下処理が済んだものが運び込まれています。 

亀谷「収穫されたわさびは、すぐには加工できません。沢の水に含まれる細菌類をわさびから落とす必要があるからです。そこで、清水町にある第2工場で丸洗いと消毒をし、わさびを刻んでから、この平成台の主力工場に運ばれてきます。わさびは鮮度が命なので、素早くこの処理を行うことが大切です」 

水切りされたわさびを、すりおろし専用の機械ですりおろします。この際に異物が混入していないか、人の目でチェックを行います。 

すりおろしたわさびを、撹拌機で均一に混ぜます。そうすることで味がよく馴染み、美味しいすりおろしわさびが出来上がります。 

攪拌し終えたすりおろしわさびを充填機へ移し、わさびチューブに充填。 

充填後は、専用の探知機を使って検査を行います。 

亀谷「でき上がった商品は人の目で確認するだけでなく、特殊な金属探知機を使って異物が入っていないか詳細にチェックしています。検査が終わった商品を箱詰めし、手早く出荷します。 
カメヤでは皆様に安心安全な商品をお届けするため、国際基準であるISOの取得を念頭に、常に高品質な商品づくりを心掛けております」 

いかがでしたでしょうか。『伊豆おろし本わさび』の小さなチューブの中には、ご家庭で手軽に美味しい「おろしわさび」を堪能していただきたいという二代目社長の熱い思いや、日々高品質な製品をつくり続ける社員の方々の誠実さが詰まっているのでした。 

この『伊豆おろし本わさび』が、これからも美味しい刺身や蕎麦、お肉の引き立て役として、ご家庭で愛され続けることを願ってやみません。 

筆者:わび 

ご紹介した商品 

伊豆おろし本わさび 

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